藤本の日記(@Kentaro_Fujimo)

大学生の男です

「自分が消費者に合わせるべきか、消費者を自分に合わせるべきか」問題について

今週のお題「読書の秋」

 

こんにちは、藤本(@Kentaro_Fujimo)と申します。

 

このエントリは、ちきりんさん著:「自分メディア」はこう作る! 大人気ブログの超戦略的運営記の紹介連載エントリ、第7回です。

 

ただ、それぞれのエントリは独立しているので、このエントリだけでも十分に楽しめます。

 

一応、他のエントリも載せておくので、気になったものがあれば、読んでみてください!

 

 

 

今まで無視していたのですが、今週のはてなブログさんの用意したお題が「読書の秋」ということで、どっちにしろ本を土台にブログを書こうと思っていたので、乗っかります。

 

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もうすぐ10月もやって来ますねえ

 

自分がお客に合わせるか、お客を自分に合わせるか

 

資本主義における究極的な問いの一つに、「自分の感性を表現するのか、お客の求めているものを届けるか」問題というのがあると思います。アーティスティックな活動をしている人に、特によく見られる現象です。


結論から言うと、この議論に対する明確な答えを、今の僕は持ち合わせていません。


だから今回は、自分の頭の中の整理というか、備忘録的な意味合いで、書きます。構成とかも、ぐちゃぐちゃになると思います。

 

この問いを考え始めたキッカケ


こんなことを考えたのは、「自分メディア」はこう作る! 大人気ブログの超戦略的運営記を読んだことがきっかけです。


この本の著者であるちきりん(@InsideCHIKIRIN)さんは、大人気社会派ブロガーです。

 

一見、気の赴くままに書いているような印象だった「Chikirinの日記」も、実は大変緻密な戦略のもとで運営されていました。本著では、その全貌が解き明かされています。↓

「自分メディア」はこう作る! 大人気ブログの超戦略的運営記
 

 

ちきりんさんの超戦略的ブログ運営


例えば、ちきりんさんの最終目的は「自分のブログに、自身と価値観を共有した読者ができるだけ多く集う」ことでした。本を出版したり、ニュースサイトに寄稿して原稿料を稼ぐことではありません。それは、最終目的の単なる「手段」に過ぎませんでした。


本を出版したのは、ネット上で今以上に知名度を上げて読者を呼ぶのは、その時点である程度頭打ちだと判断したからです。ネットに普段あまり触れていない層に、自身の名を知ってもらうには、紙媒体に進出していくのが有効だと考えたのです。


また、基本的には他サイトに寄稿などもしませんでした。それは、読者が「色んなところでちきりんの考えを知ることができる」と思ってしまうと、自身のサイトに訪れるインセンティブが、弱くなってしまうからです。

 

あくまでも目的は、「Chikirinの日記に来てもらうこと」なのです。ですので寄稿するサイトは、自身の現時点での読者層と重ならない、新規開拓できそうな層である、地方新聞でした。

 

とっても戦略的だけど媚びてはいない


ただ、これだけ戦略的に読者の開拓を意識しているちきりんさんにも、「届け手に媚びいてる」という印象は受けません。僕は、これはどうしてなんだろうなということについて、今書きながらや、この2〜3日のヒマな時間に考えていました。

 

冒頭の問いに対する現時点での答え

  

まずその前に、「自分の思うままに表現するか、相手の意向を汲み取るか」という議論について、これはどっちかが100でどっちかが0というより、レイヤーや、グラデーションの話なんだなと思いました。

 

現時点での僕のとりあえずの結論は、「この議論には2通りの答えがある」です。

 

レイヤーで分ける考え方


僕が思いついた2つの答えのうち、まず1つ目は、「コンテンツ自体は自分の思うままに作り、その届け方について、全力で相手のことを考える」というものです。

 

言い換えると、作る時点では自分勝手に作り、それを届ける際は全力で消費者に寄り添うということです。

 

つまりこれは、レイヤーの話です。


これの典型的な例は、キングコングの西野さんです。

 

革命のファンファーレ 現代のお金と広告

革命のファンファーレ 現代のお金と広告

 

 

西野さんは、絵本や舞台、スナックなど、自分のやりたいことを自由奔放にやっているような印象を受けます。

 

ただ、それを届ける際は、本気でいろんな策を駆使します。クラウドファンディングブログ、時には手売りなどの地道な活動まで。

 

このタイプの人には、「自分の好きなものを好きと言ってもらう人を増やして、お金を回すため、それ相応のことをしなければならない」という覚悟を感じます。

 

はじめしゃちょーなどはこっちのタイプ

 

Youtuberで言えば、はじめしゃちょーなどは、折に触れて「自分の好きなこと、面白いと思っていることを勝手にやっているだけだから、それを楽しいと思ってくれる人だけ見てくれたらいいよ」という旨の発言をします。

 

でもその代わり、自分の動画内容に影響を及ぼさないところで、色んな工夫をします。カメラやPCのスペックを上げたり、Twitterでファンと交流したり…。

 

冒頭のちきりんさんも、こっち側のタイプだと思います。

 

こう見ると、趣味の領域から本業に転身したような場合は、こっちのタイプに属しやすいのかなーと感じます。

 

最初は自分の気の赴くままにやっていたけど、そのうち話題になって、ある程度向こう側の人を意識するようになったけど、根底はあくまでも「自分のため」。ただ、自分のやりたいことに支障をきたさない範囲で、ファンに配慮した行動をとるよというスタンス。

 

グラデーションで考える

 

2つ目は「自分の表現したいこと自体に特にこだわりはなく、消費者側から逆算して物事を考える」、というパターンです。これは、最初から向こう側の人を意識しています。

 

こっちは、グラデーションの話です。

 

言い方を合わせるなら、「お客の求めている方に寄っている」です。

 

ただこの場合、「自分の表現したいもの」は「個性」と言い換えたほうがイメージしやすいです。

 

どこで個性が出るかというと、「どのようにお客さんのことを考えるか」というところです。

 

ここのアプローチ方法に、それぞれの個性が出ます。


たとえばPR記事を書くライターなどは2つ目のタイプです。

 

自分のメディアを持ってオピニオンを発信していくというよりは、クライアントや読者の意向に沿って、記事を書いていきます。そこに、自分の主張などは含まれていません。

 

ただ、そこの表現方法、文調や構成、企画などに個性が出ます。

 

ヒカルさんとかはこっちのタイプ


あと、はじめしゃちょーとの対比で、Youtuberで例を挙げるならば、ヒカルさんやラファエルさんはこっちのタイプです。


ラファエルさんなんかは、以前Twitterで「Youtubeを見たとき、これは絶対にちゃんとやれば金になると思った」というような発言をしていました。


自分のやりたいことをやるというよりは、最初からビジネスとして動かす。だからプレゼントをしてチャンネル登録を誘導したり、派手な企画を積極的にします。「個性」が出るのは、ここです。

 

「Youtuberで稼ぐ」という目的が最初にあって、そのためにはどうすればいいかと考えて、その「手段」としてヒカルさんやラファエルさんは上記のような戦略を選択したということです。

 

甲乙つけがたい

 

どっちがいいとか悪いとかはないです。何を目的にするのか、自分の幸せは何か、優先順位をどうつけるのかによって、違ってくるだけの話です。

 

そんなことより…


ただ、書きながら思ったのですが、どっちの考え方にも共通して言えることがあるなと思いました。


それは「消費者のことを考える」というのは、「消費者に媚びる」ことではなくて、「消費者の潜在ニーズを満たす」ことなんだなということです。

 

カッコよく言えば、「消費者のインサイトを見抜く」。

 

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消費者の「真のニーズ」を見逃してはならない

 

イメージでは、前者が消費者を後ろから追いかけていて、後者が消費者の先回りをしているという感じです。

 

ちきりんさんの戦略は、後者の、先回りする施策ばかりでした。後ろからついていくのではなく、逆に消費者を導いていたので、媚びている印象を持たなかったのですね。

 

後ろから追いかけても、ある程度の支持は得られますが、本当に価値あるのは消費者自身がまだ気付いていない、本当に求めているものをこちらから提供することだと思います。

 

よく、著名な起業家とかが「消費者アンケートはするな」というのは、こういうことなのかもしれません。

 

消費者は「野菜バーガー」が食べたいと言った

 

わかりやすい例で言えば、マクドナルドの話が挙げられます。

 

マクドナルドが消費者にアンケートをとったところ、「健康に配慮したハンバーガーが欲しい」という結果が多く出たそうです。

 

それで、マックが実際に野菜たっぷりバーガーを販売したところ、全然売れませんでした。

 

実話かどうなのかは置いておいて、大変示唆に富む話です。

 

これに関連して、足立光さんという、近年の日本マクドナルドの大不振を立て直した現・日本マクドナルド上席執行役員マーケティング本部長である人が言っていて、印象的だった言葉があります。

 

私は、みながマクドナルドに持つ感情って1つだと思っています。それは一種の“背徳感”です。要は夜中のラーメンと一緒で、おいしさがないと“背徳”の意味がない。おいしいから食べちゃったという。

幹部が語る「マクドナルドが復活できた理由」』より引用

 

僕たちがマクドナルドに求めているものって、「健康」ではなくて「体にはあまり良くないけど、それでも食べてしまう美味しさ」ってことです。

 

一流のマーケターになるならこういう、消費者の「言動の不一致」を見逃してはいけません。

 

 まとめ?

 

という感じで、全くまとまりのないエントリになってしまいましたが、とりあえずこれが「自分の感性or消費者か」という議題についての、僕の現時点での見解です。

 

2パターン上げました。優劣はないですが、どちらにしろ、「消費者の先回りをする」というのは大事なことなので、僕もこれからこの力をつけていきます。