「謙虚」と「老害」は表裏一体
こんにちは、藤本けんたろう(@Kentaro_Fujimo)です。
スタジオジブリが毎月発刊している、「熱風」という小冊子を読みました。
今から書くのは、4月号の感想です。
4月号の特集は、講談師である、神田松之丞(かんだ・まつのじょう)さんのロングインタビュー。
冊子より引用
講談は、落語にすごい近い芸です。違いは、会話で進めていくのに対して、講談は講談師一人によって朗読される点です。
序盤で面白かったのは、ジブリ側から神田さんへ、インタビューの依頼をする場面。
神田さんが、当時を想起しながら話します。
今回のオファーをいただいた時、 これはヨイショではなくて、ジブリって日本人が当然知っているブランドなのに、企画書のメールに「弊社の代表作は『となりのトトロ』です」というふうに、改めてジブリの説明が書いてあったのがなんか面白いなと思って(笑)。
こっちは「いや、ジブリ知ってますよ」と思うけど、知らないことが前提というその謙虚な感じが、ほんとにうれしいです。
ぼくも読んだ当時、衝撃すぎて思わずツイートしてしまいました。
スタジオジブリが毎月発行してて、発行人は鈴木敏夫さんの『熱風』という雑誌を今読んでるんだけど、ジブリ側が取材依頼のメールを送る際に、「弊社の代表作は『となりのトトロ』です」という説明をしてる話、結構好きだなと思ったし、自分も将来そういう人間になりたいなとも思った。 pic.twitter.com/Vk1rMT2B9z
— 藤本 けんたろう (@Kentaro_Fujimo) April 29, 2018
ここで間違えてはいけないのは、「ダラダラと長い自己紹介をすること」が良いのではなくて、「名前だけで語れる実績も知名度もあるのに、謙虚に丁寧な自己紹介をしていること」です。
だから、ぼくたちがまず目指すべき状態は、「作品や肩書を出さずとも、自らの名前だけで、自らを語れること」です。
たとえば、スティーブ・ジョブズさんやマックザッカーバーグさんって、その名前だけですべてを語れるじゃないですか。
わざわざ、「iPhoneを作ったジョブズです」とか、「Facebookを開発したザッカーバーグです」とは、言わないじゃないですか。
日本だと、堀江貴文さんがそんな状態に近いかもしれません。もちろん、スタジオジブリもそうですね。
ただ、そんな状態になってもなお、驕らずに「となりのトトロを作ったジブリです」といえる謙虚さ。ここに、価値があるのです。
だからまずは、危うく名前だけで自己紹介してしまいそうになるくらい、実績を作ることが必要です。
ただ、一つ気をつけなければいけないのは、「自己紹介される側」になると、また話が変わってくるということです。
つまり、相手に名前だけで自己紹介されても、「生意気だな」と思ってはいけないのです。
今日、佐渡島さんと、おまえは失礼だって人に言い出したらその人の成長は止まってるよねって話して超納得。失礼って思うってことは自分が正解だって思ってるってことだからね。正解なんてないし価値観は常に変化してるからね。ホリエモンが人に失礼って言ってるの聞いたことない。
— minowa2.0/箕輪厚介 (@minowanowa) May 31, 2018
相手に生意気だなと思ってしまった瞬間、それもまた「驕り」の出始めている兆候です。言い換えれば、老害。
相手から自己紹介されるとき、丁寧にされようが雑にされようが、その点において感情は介入されない。
「自分はこんな謙虚であろうと努めてるのに、あなたはなんて失礼なんだ!」と思えば、それは老害の始まりです。
逆に自分が自己紹介するとき、目指すべき状態は「名前だけで語れる」です。ただ、実際にするときは、自分が愛している作品、プロジェクト、活動、組織のなにかを添える。
そんな謙虚な人間でありたいなあと、スタジオジブリのメールから思いました。
冗長な自己紹介はダメですけね、相手の貴重な時間をいただいてるわけですから。
考えに考えぬかれた上での、論理的な批評は、共感をよび、新たなファンを得る。
— 藤本 けんたろう (@Kentaro_Fujimo) July 4, 2018
じぶんの理解度を超えてしまったがゆえになされた、感情的な批判は、顰蹙(ひんしゅく)をかい、将来の選択肢を失う。