藤本の日記(@Kentaro_Fujimo)

大学生の男です

「人間はAIにできないクリエイティブなことをしよう!」という言葉の無責任さ

 

こんにちは、藤本けんたろう(@Kentaro_Fujimo)です。  

 

落合陽一さんの『超AI時代の生存戦略 ―― シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト』を読みました。

 

最新著作で盛り上がってる時に、あえて2017年の本を読む、逆張り思考。

 

デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂

デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂

 

 

※悔しいですが、本記事においては引用が多くなります。僕の考察を書くというより、特になるほどなと思った箇所について、僕が噛み砕いたり具体例を乗せていく構成になると思います。

 

今回は、「クリエイティブ」という言葉のまやかしについて、書いていきます。

 

この本、タイトルは超AI時代の生存戦略というんですが、ニュースや記事などでよくAI(人工知能)について取り上げられたとき、決まって最後の締めは 

「機械にできることは機械に任せて、人間は人間にしかできないクリエイティブなことをやろう」です。

 

散々中盤では僕たちの不安を煽っておいて、最後に「うんうん、そうだな!僕たちは僕たちにしかできないことがあるから、それをやっていれは機械にも代替されない...!」

 

と、結局どっちやねーん的なところに着地します。

 

これを本中において、落合さんは

結局のところ、バズを狙ったニュースでの識者の人工知能(AI)についての記述の多くは恐怖を煽るのが目的だ。

不安を用いて衆目を集めページビュー(PV)を稼ぐような台詞回しが多く、結論はクリエイティブという掴みどころのないものを表題にしてやり過ごす。

 

AlphaGOがプロ棋士を破ったとき、当時ニュースで誰かが言っていたか、Twitter でバズっていたのでぼくがなるほどなーと思ったのは、あれは人工知能が人間に勝ったのではなく、あの人工知能作ったエンジニアが、プロ棋士に勝ったのだという指摘でした。

 

それに、職を奪われる云々の観点から言っても、プロ棋士側は一人だが、エンジニア側はチームを組んで複数いると。

 

結局、人工知能が職を生んでいるじゃないか!という着眼点も、そういう考え方もあるのか、といまだに記憶に残っています。

 

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ところで、AIと同じ文脈でよく登場するのが、BI(ベーシックインカム)ですが、よく言われるのは

「AIに仕事は任せて富を作ってもらい、BIで人間はお金を支給してもらい、そして好きなことをして暮らそう!」

という構想です。

 

ただ、この考え方についても落合さんは異論を唱えます。

 

では、この世界のどこにベーシックインカムで暮らせるローカルが存在するか。

それは青いアメリカ(ヒラリー支持)にある。

人間が人間にしかできないこと ― クリエイティブな活動をすることで余暇を潰すことで生きていくような世界は、そしてそれを可能にするほどの富が集まる場所は、そこにしかないだろう。

他のローカルでは機械の歯車として人間も働き続けるのだ。

富を生み出すために、インターネットの端末に混ざって生きていかなければならない。

その上で、持たざるローカルに所属する人々が2040年代の世界をぼんやり想像しながら過ごす余裕があるだろうか?

少なくとも日本ローカルに暮らす私たちにはないはずだ。

機械との親和性を高めコストとして排除されないようにうまく働くか、機械を使いこなした上で他の人間から職を奪うしかないのだ。

この構図は機械対人間ではなく、「人間」と「機械親和性の高い人間」との戦いに他ならないのだから。

(中略)

ここには、「クリエイティブなことをして過ごす」というあやふやな結論は存在しない。

 

最後の最後まで、しびれる言葉を編み出してくれます。

 

今のような機械が人と同様に自律的に社会に参画する時代より前に考えなければいけないのは、人対人の終わらない争いだと思う

 

第2回:いまコミュニティが流行っている理由と、グローバルとローカルに優劣はないって話

第3回:淡々とやり続けることの大事さと、自分の好きなことの見つけかた

第4回:超AI時代、人間が身につけておくべきスキルとは

第5回:じぶんの仕事で忙しい人ほど、SNSをやるべき理由

第6回:ぼくたちが今の時代にすべきことは、筋トレ。

 

超AI時代の生存戦略 ―― シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト

超AI時代の生存戦略 ―― シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト