今回のしおたんさん記事は「塩谷のメディアをはじめからていねいに」で書籍化すればいいと思う
こんにちは、藤本けんたろうです。
一昨日に公開された、しおたんさん記事がすげー面白かったので(読者としてもメディアに興味ある人としても)、まとめておきます!
■「ライターになりたい!」というニーズが急増する今。労働集約型モデルを、どう変えていく?
有言実行。
今回のミリューさんの記事、内容以外でも勉強になることが多すぎる…!
— 藤本 けんたろう (@Kentaro_Fujimo) 2018年3月23日
まずIDENTITYさんが広告記事を依頼するタイミング。クラファンの認知という目的から逆算されてる。
そして記事の構成は、最近定着した本の無料公開のイベント版のようだ。
書き出したら止まらないから、この土日でブログ書く。
目次
- 1.IDENTITYさんの記事広告を依頼するタイミングが秀逸すぎる
- 2.記事の構成が秀逸すぎる
- 3.「好きなこと」を仕事にすると稼げない?
- 4.「メディア」という言葉の危うさ
- 5.ライター天井がすぐに見えちゃう問題
- 6.ライター(メディア)の稼ぎ方
- 7.稼いだお金でなにをする?
1.IDENTITYさんの記事広告を依頼するタイミングが秀逸すぎる
最初の2項では、記事の中身にはあまり入りません。外側から、褒めまくります。
まず、記事の登場人物を見たとき、
「あれそういや昨日から、タイムラインでIDENTITYさんをよく見かけるな」
と思っていたら、リリースしたクラファンプロジェクトの記事広告でした。
ちゃんと広報したいプロジェクトから逆算された戦略が、素晴らしすぎます。
僕のイメージだと、記事広告って単発の使い方が多いんですよね。「とにかくウチを広めてくれー!」みたいな。
でもどうせやるんだったら、今回のIDENTITYさんみたいに、プレスリリースと絡めた方が絶対に効果的です。
「あ、こうやって記事広告は活用すればいいんだ」と、すごく参考になるやり方でした。
2.記事の構成が秀逸すぎる
記事の「タイミング」の次は、「構成」が勉強になりました。
記事の最後の告知では、クラウドファンディングの手前に、IDENTITYさんとmilieuさんによる合同イベントの告知がありました。
そこでは「イベントの内容は、記事を深掘りしたものだよっ!」というつなぎ方になっていて、これは昨年から定着している「本の無料公開」を想起させました。
「イベントではこんなことを話します!今から記事でチラ見せするので、面白いと思ったら来てください!」という、すごくキレイな導線。。
記事でも、イベント告知の切り出し方が自然すぎて(どこから逆算されてたんだ…!?)、気づいたら概要欄に到着してました。
そして、(恐らく)イベントではもう一度クラファンのPRをするという、何重にも張り巡らされた戦略…!!スゴすぎる...!!
3.「好きなこと」を仕事にすると稼げない?
ここからは、具体的な記事の中身に入っていきます。
まずはやっぱり、「お金」の話。
「好きなことを仕事にしよう!」
という謳い文句が叫ばれて久しいです。
「やりたいこと(好きなこと)」と「できること」の二元論で話をするなら、僕も前者派です。
ただ、好きなことを仕事にできているがゆえに、「金銭的な対価を積極的に求めない」という事象も発生しています。
アニメとか漫画業界も多分、そうですよね。
当の本人は「好きなこと仕事にできて、且つ食うのにも困らない生活ができてる!」で満足だとしても、業界として長期的に見たとき、その状況はそれほど褒められたものじゃない...
ただ、これは別に今日明日で解決される問題でもないので、代わりにとある記事のURLを貼って終わらせます。
「お金を稼ぐマインド」に関する、すごくいい記事です。
みなさん、いっぱいお金を稼ぎましょう!!!
■「お金を儲ける事に遠慮してしまいます」という悩みに対するベストアンサーが秀逸
4.「メディア」という言葉の危うさ
次は少し違った視点からの、メディア業界の問題点。
(オウンド)メディアって、すごく良いですよね。
会いたい人や気になるニュースがあれば、「取材させてください!」の一言で会える(かもしれない)。
「オウンドメディアは社交ツールとしても有効ですよね」
という、記事中にあったしおたんさんの言葉は、正鵠を射ていると思います。
でも僕自身、「取材させてください!」というある意味では魔法の言葉をとなえる度、しおたんさんのとあるブログを思い出すのです。
当時すごく炎上したらしいので、あえてタイトルとURLは伏せますが、要は
「メディア(受け取り手と発信者の媒体)になれないくせに、メディアを名乗るなー!」
という話です。単なる発信者のフォロワーでしかないのに、「取材です」「メディアです」と言って大きな顔をする。
いま自分でも書きながら、ものすごく胃が締め付けられてます。(メディアをもつ企業でインターンやってるので...)
でもじゃあ、影響力もお金もないメディアが、フォロワーの関係になってしまう方へ取材させてもらうには、どうしたらいいのか。
一つの答えは、先日のNewsPicks記事(※有料)にありました。編集者の宇野さんが、すごく良いこと言ってます。
『PLANETS』は今ほど知名度がなかった時代から、
結構有名な人が出ていると思うんですが、
それって単に丁寧に熱量の高いメッセージを送って突撃したからです。
丁寧な企画書を送り、
「いい媒体を作ろうと思っています。何とかご出演いただけないでしょうか」
とお願いしました
もう最後は、「愛」しかないんです。「時間」と言い換えられるかもしれません。
「これだけあなたのことを取材したいんです!」
「これだけあなたのことが好きなんです!」
のメッセージに、どれだけの愛と時間を注げるか。
これは、まだなんの影響力もお金もない僕が、肝に命じていることでもあります。
(個人的には、もう少しだけ「学生です!」魔法の有効期限も残ってるんですが、あまり酷使したくない…)
5.ライター天井がすぐに見えちゃう問題
もう少し業界の死活問題を続けます。
項のお題通り、業界の死活問題は「ライターあんまり稼げない問題」です。
現状だと、ビジネスモデルとして貧弱すぎるのです。あまりにも労働集約型で、数こなして走り続けないと死にます。でも走り続けたら、死にます。
モリジュンヤさんはこの問題を、
「課金ポイントが少ない」
とも換言していました。
ここでは、しおたんさんとIDENTITYさんそれぞれの対応策を紹介しておきます。
a.しおたんさんの対応策→単価を上げる
私は「本数」じゃなくて「SNSで拡散されるだけの質まで上げる」ことに重きを置いたら、
単価が上がっていって、今では記事広告だと、
1記事40万円くらいはコンスタントにいただけるようになって、
個人的にはゆとりが出来たのですが
多分、最後の「個人的には」という接頭語には、「再現性が高くないのが難点」という意味が含まれているのだと思います。
b.IDENTITYさんの対応策→関わる期間と工程を増やす
クライアントと経営目標を共有して、
通年のマーケティングを提案しながら、
長期で関わっていく案件が多いですね。
マーケティング予算を通年でいただいている中で、
記事制作にもお金を使っている
記事制作だけでなく、かなり上流から噛んでます。記事中では数千万規模の案件も受けることがあると言われていて、なかなか夢のある話です…!
と、ここまではライター、もしくはライターの本業としてメディア単体をいかにマネタイズさせるかについて話しました。
次の項では、メディアを活用して、いかに違うマネタイズポイントを作れるか、です。
6.ライター(メディア)の稼ぎ方
記事に出ていた具体例は、soarさん。
メディア自体は募金で運営しているのですが、実はsoarさんのライターは、その専門知識を生かして外の媒体で執筆の仕事を受けたりしています。
メディアは意見を主張する場としてピュアに運営し、そこが広告塔になって他から仕事が入ってくる、という循環です。
実際、しおたんさん自身もmilieu自体でマネタイズというよりは、そこを起点にしてvaluやnote、セミナーなどでうまくポートフォリオを組みながらやっている、という内容のnoteを前に読みました。
1番いま再現性が高いのは、このやり方かもしれないですね。
7.稼いだお金でなにをする?
ここが一番、読んでいて個人的にハッとなりました。
ぼく自身、まだまだ発信者として年商2~3000万に収まるレベルにすら到達してないので、そこまで考えが及んでいなかったのですが…
仮に好きなことを仕事にして、食うのにも困らなくなった時、その先でどうするのか。
ぼく自身はまだ、具体的な想像までできてないのですが、例えばしおたんさんは、milieuというオピニオンメディアを立ち上げ、碇さんやモリさんは法人を作って事業や人への投資に回しているわけです。
小乗仏教的な考えでいくなら、ヒソヒソと個人で続けていればよかったものを、労力かけて次の取り組みにつなげているのです。
僕もはやく、そこまで視座を上げられるようになります。
...ということで、現状のライターやメディアの抱える構造的な問題から、その模範的な解決策に至るまで、全て詰まっていた今回のmilieuさん記事。
状況は刻一刻と変わるのでなんとも言えませんが、マジで今回の内容はメディア業界の参考書になるレベルです。
僕自身、今後のキャリアの方向性を考えるうえでも、すごく参考になる記事でした!!!
★日々のなかで感じたことをツイートしてます
成長するっていうのは、
— 藤本 けんたろう (@Kentaro_Fujimo) 2018年3月18日
「自分のスキルの最大値が上がること」
じゃなくて
「自分の当たり前の基準値が上がること」
なんだろうなーと思う。
「よっしゃー!完封できたってことは成長してるぜ」
じゃなくて
「去年は何とか5回2失点に収めようと思ってたけど、今年は7回1失点が悔しい」
みたいな。