演者にとっての「神様」は誰か?そして誰から対価をもらうべきなのか?
こんにちは、藤本(@Kentaro_Fujimo)と申します。
このエントリは、ヨッピーさん著「明日クビになっても大丈夫!」の紹介連載エントリ第10回です。
ただ、それぞれのエントリは完全に独立しているので、このエントリだけでも十二分に楽しめます。
もちろん、他のエントリだけでも十三分に楽しめます。他のエントリも載せておくので、気になるテーマがあったら読んでみてください!
第1回 数字を報告するだけの会議ならさっさと撤廃したほうがいい
第2回 会社員が満員電車に揺られながら通勤するのは「お金」のためじゃない
第3回 スターは自身の「下積みの努力」を公にさらすべきなのか?
第4回 人はこれから、”人”で住む場所を選ぶようになる
第5回 ハチャメチャやってる人も実はみんな頭脳明晰で、多少なりともキャラを「演じている」部分がある
第6回 ブロガーやライターは「書くこと」自体を専門にしてしまうと、末路はだいたい「金太郎飴」になる
第7回 個人が認知度を獲得していくにあたり、「二つ名」的なものが必要な理由
第8回 「消費型」から「生産型」へ。趣味を発信することによる3つのメリット
今回のテーマは、「商売をするにあたって、誰が神様なのか、そして誰からお金をもらうか」問題についてです。
誰が神様?
ヨッピーさん(@yoppymodel)にとっての神様は、「読者」だそうです。
例えば僕のライターと言う仕事で言えば、クライアント(お金をくれる人)がいて、取材先がいて、そして読者がいる。
この中でどれが一番大事なのか、と言えばこれはもう「読者」なのであります。
何故なら、クライアントは確かに僕にお金をくれるけど、じゃあ何故僕にクライアントがお金をくれるのかと言えば僕が一定数の読者を抱えているからだ。
(中略)
だから、僕は自分読者に絶対損をさせたくないし、読者から直接お金をもらうような事もしたくない。
僕にとって読者様は神様だからだ。
出典/明日クビになっても大丈夫!
で、なんで今回このテーマを取り上げたかというと、ちょうどこの本と同じ時期くらいに、中川淳一郎さん(@unkotaberuno)というPRプランナー(?)の方の記事を読んだからです。
オレ自身は才能なんかはまったくないとは思っている。ただ、根性と「カネを出す側がエラい」という社畜根性は持っている。オレはこれしかない。
出典/フリーランスは他のフリーランスを羨ましがってはいけない、という心構えと稼ぐための基本姿勢について(有料記事です)
中川さんにとっての"神様"は、僕の読んだ感じとしては「クライアント」なのかな?と思いました。
ヨッピーさんと中川さん、「広告」という同じ業界にいて、考え方は違っているのは色々と考え方があって面白いなと思い、今回のテーマとして取り上げました。
誰からお金をもらう?
ただ、このテーマにはまだもう一歩先の話があって(というかここからが本題)、
ヨッピーさんとキンコン西野さんに関しては、根本の考え方は同じなのに、取っている行動は180°逆なのです。ここがまた面白い。
まず根本の考え方というのは、さっきも書いたとおり、「読者(お客)こそが神様」というところです。
キンコン西野さんは「読者(お客)こそが神様」とまでは明言されてないですが、少なくとも「クライアントよりもお客(この場合は西野さんのファン)の方を大事にする」というスタンスでは、同義だと思います。
そしてここからの「取っている行動は180°逆」というところが面白いのですが、ヨッピーさんはお客(以後抽象性を上げて"読者"ではなく"お客"とします)を大事に思っているからこそ、お客からはお金を取りません。
しかしキンコン西野さんはお客が1番大事だと思っているからこそ、直接お客とつながって、直接お客からお金をもらいます。
芸能人や役者の方々の「お金をもらう仕組み」
西野さんは何年かほど前に「(お客から直接ではなく、間接的に)クライアントから給料をもらっている仕組みの脆弱性」に気付き、テレビ以外からの収入の軸足を作ろうと試みました。
どういうことかと言うと、テレビに出ている芸人さんや役者の方などは、「クライアント(=CM)」からもらったお金で、給料が発生しています。
しかしそれには、「お客よりもクライアントを優先するために、お客にウソをつかなければいけない時がある」という弱点があります。
例えば、マズイ料理を食べても視聴率のために「うまい!」と言ったり、普段使ってもない商品を、CMで「最高!」とか言ったりすることです。
でも今の時代、そういったウソはネットやSNSですぐにバレます。そしてこれからの時代、「お金」よりも「信用」が大事になってきます。
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信用を失う1番手っ取り早い方法は、「ウソをつくこと」です。
西野さんは、そんな先の時代を見据えて、「クライアント」からではなく(=テレビに出ること)、「お客」から直接お金をもらうマネタイズの仕組みを構築しようとしました。
演者とお客が直接つながる
今は、個人が個人に課金できるクラウドファンディングや有料メルマガといった"装置"が、たくさんあります。
ちなみに西野さんは、クラウドファンディングで累計1億円以上集めています。
その一方、ヨッピーさんはお客を大事に思っているからこそ、直接お金を受け取りません。
受け取らないどころか、自分のイベントに来た人に対してお金を「渡して」いたりします。
過去に自分主催でやったイベントはイベント会場側に「入場料は全額僕が払うからチケット代無料にしてくれ」と交渉して実際に無料にしたし、CDを発売した時は「1人500円分おこづかい付きCDリリースイベント」なんかをやったりした。
イベント会場代は全額僕持ちで、かつ来てくれた人達全員に500円ずつ配ったのだ。
出典/明日クビになっても大丈夫!
僕はここが本を読む前は不思議で、「イベント有料でやったらもっと儲かるだろうに」とか「あれだけ読者抱えてたら、有料オンラインサロンとか始めたら強そうだな」とかと思っていました。
でもヨッピーさんは、それらをすべて踏まえたうえで、「お客からはお金を受け取らない」という選択を取っていたんですね。
自分が少数派だということは、自分で言っていました。
もちろん、本や雑誌、CDみたいに読者が直接クライアント足り得る仕組みの物なら読者からお金を貰うのは当たり前のことだし、僕のその「お金を取りたくない」と言う価値観の方が世間からズレてるんだろうなっていう認識もあるので押しつけるつもりはないけど、
出典/明日クビになっても大丈夫!
これからのお金の稼ぎ方
確かに、これから先は西野さんのように、お客と主が直接つながる時代になっていくと思います。ただ、その一方で、「お客が大事」という同じ考えから、全く逆の方向に発想するヨッピーさんのような考え方もあります。
同じ業界にいても誰を神様とするかが違ったり、同じ考えでもそこから導き出される行動は違ったりして、単純に色んな考え方があって面白いなと思ったという話でした。
第11回(最終回)はコチラ↓
第1回 数字を報告するだけの会議ならさっさと撤廃したほうがいい
第2回 会社員が満員電車に揺られながら通勤するのは「お金」のためじゃない
第3回 スターは自身の「下積みの努力」を公にさらすべきなのか?
第4回 人はこれから、”人”で住む場所を選ぶようになる
第5回 ハチャメチャやってる人も実はみんな頭脳明晰で、多少なりともキャラを「演じている」部分がある
第6回 ブロガーやライターは「書くこと」自体を専門にしてしまうと、末路はだいたい「金太郎飴」になる
第7回 個人が認知度を獲得していくにあたり、「二つ名」的なものが必要な理由
第8回 「消費型」から「生産型」へ。趣味を発信することによる3つのメリット
第9回 メディア・クライアント・消費者の三方良しじゃないと、これからのスポンサードコンテンツは生き残れない
第10回 演者にとっての「神様」は誰か?そして誰から対価をもらうべきなのか?
第11回 会いたい人には会った方がいいのか?いや僕はそうは思わない
もっとヨッピーさんの色んな持論が細かく書かれてるよ↓
Kindle版もあるよ↓
僕の最近のツイート↓
個人ブログは、自分の書きたいことを書こう。
— 藤本けんたろう (@Kentaro_Fujimo) 2017年12月12日
起点となったえとみほさんのエントリも、それに追随したはあちゅうさんのエントリも、このエントリにも全部20いいねずつくらいしたい。本来はもっと自由なものなんだよ、個人ブログは。
個人ブログはもっと自由でいいと思うんだ https://t.co/WsFfLahSRv
しおたんさんと最所さんの、今回の県談記事に懸けた想いが伝わってくる…!
— 藤本けんたろう (@Kentaro_Fujimo) 2017年12月12日
記事公開したらハイ終わり、じゃなくて後にタイトル変えるという、最後「広める」までコミットするのがやっぱり大事だなあ。
アーティストと工業製品メーカーのタッグでつくりあげた、大作の裏側。 https://t.co/mguuR3FiLE
ニュースキュレーションブログもやってます↓