藤本の日記(@Kentaro_Fujimo)

大学生の男です

新しいメディアの教科書、佐々木俊尚先生の「授業」から学んだ3つのこと。

  

こんちには、藤本と申します。

 

新しいメディアの教科書 (Kindle Single)

新しいメディアの教科書 (Kindle Single)

 

 

最初にこの本の売り方を見た時、書籍のタイトルは「新しいメディアの教科書」だけど、売り方自体は「新しい本の売り方」を体現しているなと思った。

 

最近、noteやメルマガで文章に少額課金するという文化が浸透してきたけれど、「本」という形式にも少額課金するやり方があるんだと、ふと気付かされた。というか今まで、僕が「本は200ページくらいあって、値段は1500円前後くらい」みたいな固定概念にとらわれすぎていた。本著は分量的には通常の書籍の半分くらい、値段は199円という破格の安さ。この分量と値段なら、たとえ「本」という形式をとっていたとしても、note1記事分やメルマガ1週分と同じだな考えると一気に肩肘の力が抜けて、気軽に購入できる。

 

肝心の内容については、「新しいメディアの教科書」というより「バズフィードの教科書」と言っても過言ではないくらい、バズフィードについて紙幅が費やされていた。

 

僕にとって、これは大歓迎だった。バズフィードについては、バイラルメディアや読者データを分析するシステムについて、その名前や存在自体は知っていたものの、その背後にある理念や詳細なシステムについては未知な部分が多かった。新興メディアの中で、バズフィードは僕が特に好きなメディアの一つなので、本著を通して理解が深まって良かった。その中で、今回特に印象に残った佐々木俊尚さんの「授業内容」について、3つに分けて整理する。

 

①「パーソナライズ」ではなく「コミュ二タイズ」。


ネットの一つの特徴として、「パーソナライズ」がある。ただ、これは諸刃の剣で「タコツボ化」という弊害も発生する。(タコツボ化自体が諸刃の剣で、それにも良い面と悪い面があるけど、とりあえず今回は弊害ということで。)今後、コンピュータが賢くなっていくにつれて、益々パーソナライズの進行が予想される中で、バズフィードはパーソナライズではなく、「どのようなコンテンツを読者がみんなと共有したいと考えているか」ということにフォーカスする。つまり、コミュニタイズ。確か、バズフィードの理念の一つに「皆のコミュニケーションのタネになる」みたいなのがあったと思う。これについて、本著からわかりやすい解説。

 

パーソナライズの対象がひとりの個人ではなく、その個人の向こう側にいる仲間や友人、家族といったひとかたまりの集団を対象にすれば、お勧めされるコンテンツの幅は格段に広がる。さらにこの集団は固定的なものではなく、さまざまな場面によってその都度変わっていく。

 

パーソナライズに対する対処法が他のサービスに関してはなかなか見つからない中で、取り敢えず「情報収集」に関しては、この「コミュニタイズ」が一つの解決策になるんではなかろうか。

 

②ネイティヴ広告の秘めるポテンシャル。

 

バズフィードは、自社の記事やサイトに広告を掲載していない。また、有料記事や定額課金モデルをやっているわけでもない。では、どうやってマネタイズしているかというと、ネイティヴ広告による企業からの記事依頼料だ。

 

最近は「タイトルにPR入れるか問題」などで何かと話題の「ネイティヴ広告」。逆に言えば、これからのメディアがマネタイズできるか否かのカギを握るであろうからこそ、これだけ議論されているとも言える。

 

今の時代、従来の広告は嫌われすぎている。ディスプレイ広告にバナー広告、あとはなんて言うのか知らんけど、スクロールに合わせて動くやつとか。ただでさえ小さいスマホの画面で、そんなに興味ない情報にあれだけ自己主張されたら、そりゃ嫌いにもなる。

 

そんな中、ネイティヴ広告は「宣伝したい企業」「メディア」「読者」が三方よしになる可能性を秘める逸材だ。企業は自然な形で自社のサービスやプロダクト、はたまたその企業の存在時代を認知させることができる。メディアは、従来の広告収入よりも、大きな額の収入が入ってくる。そして読者は、面白い記事を無料で読んで楽しむことができる。今は、「読者」がまだちょっとヨシになってないけど。

 

バズフィードは、ここをテクノロジーの力も駆使しながら本当の三方よしを実現しようとしている。具体的には、バズフィードは独自に開発している「パウンド(Pound)」という技術を採用している。これについて、本著からわかりやすい解説。

 

パウンドの技術は、記事のURLを活用している。バズフィードの発表した文章で言えば、「共有者のURLに、変動型の匿名ハッシュをUTMコードの形式で埋め込んでそれを追跡している。 

 

もう少しわかりやすく説明すると、ランダムに特定の数値をつくって、その数値を記事を見てくれた読者のURLに埋め込んでおく。このユーザーがそれをフェイスブックでシェアすると、数値も一緒にフェイスブックへと旅をしていく。その記事がメールでだれかのもとへ転送されれば、やっぱり数値も一緒に移動していく。この数値がどう旅をしていくのかを追跡していくことで、記事の拡散の全容が判明するということなのである。

 

このパウンドの技術によって、どのSNSにいつ配信すれば効果的に拡散されるのか、またコンテンツ自体もテキスト記事や動画、クイズ形式など、どのフォーマットが適しているのかなどに臨機応変に対応していくことができる。こうして、バズフィードはメディアの新たなマネタイズ手法として、まだまだ発展途上なネイティヴ広告の可能性を見出そうとしている。

 

③「水平分離」ではなく「垂直統合」。

 

インターネットの本質は水平分離だ、と言われている。物心ついた時から比較的ネットが身近にあった僕にとって、肌感覚での実感はしにくいけど、要はこれまで一社内で完結していたプロセスを、様々な企業が分担して請け負うようになったことを言うらしい。そして、メディアにもその波は来た。ヤフーニュースなどのプラットフォームに、それぞれのメディアが作成した記事が同一に配信される。「記事の作成」と「流通」が分離されるようになったのだ。

 

しかし、バズフィードはここで新たな「垂直統合」を実現しようとしている。先ほど述べた「パウンド」を駆使して、コンテンツの制作だけでなく流通、つまり「どのように読者まで届けるか」までを意識している。今の巨大SNSプラットフォーム、FacebookTwitter、スナップチャットにインスタグラムの、アルゴリズム変更などに「翻弄」されのではなく、「利用」していく。この様子を、最後に佐々木俊尚さんはこのようにまとめている。

 

一九九五年からの過去二十年のインタ ーネットは、水平分離に向かって進んできた。今後の二十年はコンテンツを制作するメディア企業による新しい垂直統合も広がっていき、水平化と垂直化が同時に進む方向へとむかうだろう。メディアは垂直に文化を統合していき、プラットフォームは水平に基盤を提供していく。その二つの方向は縦横に交わりながら、二十世紀にはなかったまったく新しいメディア空間を創造していくのだ。

 

日本語リソースの限界

 

以上の3つが、佐々木俊尚さんの教科書から得た「学び」。最期に「注釈」として、本著全体を通して僕が強く感じたことを一つ。

 

それは「日本語リソースの限界」。「英語リソースの重要性」と換言してもいい。今回、佐々木俊尚さんは随所でバズフィードCEOのコメントを引用していた。本著最後に記されていた引用記事なども、ほとんどが英語リソースだった。

 

今は翻訳技術なども発達しているから、日本語だけでもそれなりに世界の情報を入手することはできる。ただ、大勢には需要がなさそうな細かい情報などは翻訳されなかったり、災害やテロなどの際の緊急を要する場面では、翻訳までの数時間のタイムラグが命取りになったりもする。また、「翻訳」というプロセスを一旦はさむことによって、本来意図した情報からねじ曲げられて伝達される場合もある。やはり、生の情報源を自分で扱えるなら、それに越したことはない。

 

特に、IT情報やメディアの動きなどはスピードが早く、かつ日本語とは比にならない量の情報が眠っている。そのため、最近は僕もできる限り毎日英語記事を1つ読んで、Twitterにてコメントするようにしている。これから先、日本市場は先細りで小さくなるので、世界のマーケットで戦っていくためにも、どんどん英語記事で生の情報をキャッチしていかなければならない。

 

 

 

ということで、「新しいメディアの教科書」を読み終えた今、その背景や技術を頭に入れだ上で、改めてネイティヴ広告とバズフィードに注目していこうと思う。

 

 

 

 

 

Twitterもやってます!よければフォロー、お願いします。