「5年後、メディアは稼げるのか:佐々木紀彦」
こんにちは。藤本です。
5年後、メディアは稼げるか―Monetize or Die ?
- 作者: 佐々木紀彦
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2013/07/22
- メディア: Kindle版
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ここ数年、良くも悪くも世間をお騒がせしているメディア業界。だけど元を辿れば全部、「マネタイズの仕方が分からない」ことに起因しているんじゃないかと思う。そこで、僕が「メディアは稼げるのだろうか」と疑問に感じていたところ、読んだのがこの「5年後、メディアは稼げるのか」という本だ。とてもストレートなタイトル。大谷翔平と結構いい勝負するんじゃないだろうか。2013年に出版されて今が2017年だから、来年にはその「5年後」を迎える。答え合わせ的な意味も込めて、読んでみた。
著書で紹介された、メディア8つの稼ぎ方。
結構色々ある。
- 広告
- 有料課金
- イベント
- ゲーム
- 物販
- データ販売
- 教育
- マーケティング支援
僕の頭の中には、メディアと言えば最初の2つくらいしか思い浮かばなかった。しかし、著者の佐々木さんが現在編集長を務めるNewsPicksは、2017年4月から「NewaPicksアカデミア」というイベントと教育の合体版みたいなものを始める。月5000円で、かなり出だしは好調のようだ。あとは、「北欧、暮らしの道具店」や「ほぼ日刊イトイ新聞」なんかだと、物販でかなり儲けている、と思う。
メインは「広告」と「有料課金」。
ただ、上記の例は恐らく稀で、メインはやはり「広告」と「有料課金」が担ってくる場合が多い。つまり、5年後(現時点では来年)にメディアが稼げるかどうかは、この2つで稼げるかどうかとニアリーイコールってこと。
現状はあまり芳しくない。
で、実際にどうなのかというと、2018年を来年に控えた2017年現在においても、状況はあまり好転しているとはいえない。まず先に「有料課金」については、「ネット上の情報は基本無料で入手できる」というユーザー側の前提からすると、そこにわざわざお金を払うのは心理的なハードルが高い。日本国内で現時点で成功しているしているといえる有名所は、日経新聞くらいではないだろうか。あとは、渡邉正裕さんが編集長を務める、広告なしの完全独立ニュースサイト「MyNewsJapan」も、利益を上げているようだ。そして、前述のNewsPicksも有料会員が3万人を超え、順調な様子(ちなみに日経は50万人超)。ただ、MyNewsJapanとNeswPicks含めても日本に3社では、現状あまりにも寂しい。
MyNewsJapan、会員2千人に 「広告なし=タブーなし」ネット専業の調査報道ジャーナリズムを確立
http://buff.ly/2qRkEIZ
肝はやはり「広告」へ。
有料課金のハードルが高い以上、メディアはやっぱり「広告収入」の呪縛から逃れることはできない。ただ今の時代、従来の広告はユーザーにあまりにも嫌われすぎていて、あまり未来がないように思われる。そんななか、著書の中で佐々木さんも触れており、かつ僕も注目しているのが「ブランドコンテンツ」だ。ネイティブ広告やスポンサー広告など、色々な呼び名があり、それぞれの微妙な定義の相違も曖昧なのだけど、共通点はこれまでの記事広告よりも「コンテンツの面白さ」に重きが置かれている点。企業側は、モノやサービスを直接宣伝するのではなく、とりあえずの認知度向上やブランディングのために記事を掲載する。
現時点での最適解は「面白いブランドコンテンツ」か。
僕は、向こう5年ほどはこのブランドコンテンツが、とりあえずのメディアの生き残る道ではないかなと考えている。新進気鋭のネットメディア・バズフィードなんかは、このブランドコンテンツを軸に、マネタイズしている。今流行りのユーチューバーも、単純な広告収入よりも企業案件の方でいっぱいお金を稼いでいる人が少なくない、ように思う。
「面白いブランドコンテンツ」、もっともっと出てこいや!
「面白いブランドコンテンツ」は最高だ。企業は良いイメージで認知されるし、メディアは儲かるし、ユーザーは楽しめる。まさに三方良しだ。 ただ、問題なのはその「面白いブランドコンテンツ」というのがまだまだ少ないこと。僕はライターの中でヨッピーさん、ARuFaさん、熊谷真士さんなんかが好きだけど、「面白いブランドコンテンツ」でパット思い浮かぶのは、今のところ片手で収まってしまうくらいしかいない。こうなると、必然的にブランドコンテンツの絶対量も少なくなる。だからメディアは生き残るための当面の課題は、もっともっと「面白いブランドコンテンツ」を大量生産させていくことになるのかなーと思っている。
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