藤本の日記(@Kentaro_Fujimo)

大学生の男です

有料アプリ使用して広告ブロックする時代に際立つ、「Amazon Dash Button」の異様さ。

早稲田の清宮君を筆頭に、今秋のプロ野球ドラフトでは「野手大豊作」が噂されている。一方、ビジネスパーソンにとって2017年5月15日は、直近3ヶ月では間違いなく5本の指に入る「記事大豊作」の日だったに違いない。

 

「地方のパン屋とAI」という、「叶姉妹すき家」くらい遠い関係だと思っていた二者が出会ってしまった話や、メタップス佐藤さん渾身のエントリなど、最高にバズってるはずだ。

  

 「すごすぎる」――地方のパン屋が“AIレジ”で超絶進化 足かけ10年、たった20人の開発会社の苦労の物語
http://bit.ly/2qpTK9a
「持続的に発展する経済システムの作り方を考えてみる」
http://bit.ly/2pInteG

 

そんな粒ぞろいの「2017年5月15日記事」の中で、今回僕が取り上げたいのは、LINE田端さんの記事。

 

「オーケー、認めよう。広告はもはや「嫌われもの」なのだ — LINE 田端信太郎」
http://bit.ly/2qpFMUR

 

記事の内容を要約するとこうだ。

「これからの広告は、企業が一方的に投げかけて消費者の欲望を喚起するものではなく、消費者の欲望を充足させるためにあるべきで、そしてその欲望自体は消費者自身が主体的に感じるのだ!」

 

この記事、そのまま「広告の未来」として読んでもスゴく面白いのだけど、僕にとっては少し違った「お金の未来」の記事としても、示唆に富む記事だと思った。まずは、僕がそう感じた記事中の一節を引用する。

 

有料アプリを買い、金を払ってまで、「お前の顔なんか見たくねーよ、バーカ!」と思われている広告がある。かたや、お金を払いわざわざ注文をしてまで、消費者が喜々として、炭酸水の生産者である企業にとって需要の最前線である冷蔵庫の上に貼り付けられる広告もある。 

 

有料アプリとは広告ブロッカーのことで、冷蔵庫に貼り付けられているものは「Amazon Dash Button」のこと。つまり、同じ「広告」に対して一方は出会わないためにお金が支払われ、一方は出会うためにお金が支払われている。この両者の対極的な相違から、僕は「お金の未来」を垣間見た。

 

結論から言っておこう。僕に見えた「お金の未来」とは、「従来の慣習にあった何となくのお金の流れは無効化され、ただ単純に魅力ある人やモノにお金が集まり続ける」だ。そんなこと、右足を出して左足を出せば歩けることと同じくらいくらい、当たり前じゃないか!と思う人もいるかもしれない。

 


COWCOW「あたりまえ体操#1」

 

だが案外そうでもない。世の中には何となくというか、ただこれまでの慣習に沿ってお金が流れていたというケースだってあるのだ。

 

僕にとって印象的なのは、堀江さんが運営している「堀江イノベーション大学」。「大学」と謳ってはいるものの、中身として実際に行われているのは授業ではなく事業だ。とどのつまり会社。ならばこれまでの慣習に従う場合、堀江さんは会員にお金を払う立場のはず。しかし実際は、逆に会員が堀江さんに月1万円払っている。ちなみに名前を「大学」としたのは、この構図を世間的にも納得させるためだというのが、僕の邪推だ。

 

ただ誤解しないでほしいのだが、僕はこの例を悪い例ではなく、良い例として用いるために出した。このお金の流れの逆転について、以前堀江さんがどこかで言っていたことが実に興味深かった。ソースを探したけど見つけられなかったから、僕の記憶の範囲でまとめる。

 

「大学時代は高い学費を大学に払っていたのに、卒業して会社に入った途端に月20万とかもらう。別にその人が急に生まれ変わったわけでもないのに、このギャップはおかしい。」

 

要は学生は大学にお金を払い、会社が社員にお金を払うという行為を一旦考え直そうということだ。特に新卒なんかは、入って数年の間は役に立たない。それならば逆に、経験量として会社側がお金をもらいたいくらいだということだろう。

 

ただ堀江イノベーション大学の場合、経験に加えてその過程での堀江さんからのフィードバックや、同志とのコミュニティ、豪華ゲストとの定例トークなど、様々な付加価値がある。そのため一概には「会社」とも言えないけれども、少なくとも「事業をしている」という観点からは、既存の価値観に照らし合わせると、堀江イノベーション大学は「会社」だ。にも関わらず、堀江さんはその「柔軟な発想力」と「自身の魅力」で、従来とは真逆のお金の流れを起こした。

 

田端さんの記事に戻る。広告も従来の常識だと、基本的には「お金を払ってでも避けるもの」だった。スマホ内のただでさえ小さい画面に張り巡らされた広告は、僕たちが本来楽しみたいコンテンツを、さらに小さくした。邪魔で仕方なかった。しかし今「Amazon Dash Button」は、お金を払った上で、消費者たちに喜々として貼り付けられている。しかも「冷蔵庫の上」という、「我々が家の中で見る場所ランキングベスト10」に、絶対ランクインしているであろう目立つ場所に。それは、「Amazon Dash Button」が魅力あるモノだからこそ成せる所業だ。

 

もう嫌われものにお金は集まらない。誰が何にお金を払うべきかなんて、そんなのいつ決まったんだ。消費者だってバカじゃない。これまでのしきたりにあぐらかいて偉そうにしてると、気付いたら周りに誰もいなくなってる。これからの時代、「魅力ある人やモノ」へのお金の流れはどんどん加速していくだろう。

 

 

 

なんてことを、一秒たりともビジネスパーソンになったことがない大学生が考えてました。

 

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