藤本の日記(@Kentaro_Fujimo)

大学生の男です

「さよならインターネット:家入一真」

 

 

著者の「家入一真」さん、僕がその存在を知ったのはここ1~2年くらいなのですが、過去に上場とかしてメチャクチャ儲けて、そこから一文無しになったみたいな話を聞いたことがあったので、勝手に調子乗りすぎたイケイケな経営者っていうイメージをしてました。

 

だけど、実際に映像で初めてその姿を見てみたら、公の場なのにマスクしてること多いし、あんまり喋らないしで、僕の勝手な想像とは違ってて驚きました。あ、言い忘れてましたが、

 

レビューです。申し遅れました。

 

内容としては、インターネットの歴史とこれからについて、その大半をインターネットと共に過ごしてきた家入さんの人生も振り返りつつ、見ていこうというものです。

 

タイトルと帯からも想像できるように、全体的にインターネットの将来については悲観的な内容となっています。悲観的というか、家入さんがそれに出会った時には存在した心地よさ、理想としていた世界からは乖離していっているということです。

 

ということで今回は、家入さんが予想する「これからのインターネット・ネガティブポイント3選」をお届けします。

 

①国がインターネットの管理に乗り出す。

インターネットって、僕のイメージでは「自由の最後の砦」みたいな感じです。実際、今の世論としても「インターネットを規制するのは、流石にナッシングだろう」というものが大半でしょう。

 

ただ、国家にとってインターネットは、グローバル企業と同じくらい自身の存在を脅かす厄介な存在です。そうなると彼らは、自身の最大の既得権益である「権力」を最大限に駆使して、その厄介物を管理下に置こうとしても不思議ではありません。

 

本著での書き方からすると、家入さん自身は結構ガチでこの「インターネットが管理下に置かれる」というディストピアを懸念していました。

 

②インターネットが閉ざされていく。

今日のインターネットの世界では、「炎上」が日常茶飯事です。過激な発言や目立つ人の行動は、その意図や本質からはズレた切り取られ方をされ、そして瞬く間に拡散していきます。

 

そうするうちに、本来は届く必要のない人や届いてほしくない人にまでその情報が行き渡ってしまい、全く的外れな議論が始まってしまいます。

 

この状況から予想される未来は、「閉ざされたインターネットの世界」です。ある種の「壁」を作ることによって、必要以上に情報が伝播してしまうことを防ぎ、届けたい人、届いて欲しい人にだけ情報が届くようにします。

 

というか、この②に関しては既に現象として発生しています。顕著な例としては、「有料メルマガ」や「オンラインサロン」です。主催者は多くの場合、「お金」によって「壁」を建設します。こうして、ただの野次馬は中に入れなくなるので、「閉ざされた世界」は実に心地の良い健全な空間となります。

 

この「閉ざされた世界」に関する動きは、ますます加速していくでしょうね。

 

③「偶然の出会い」が消滅する。

キーワードは、「SNS」と「AI」です。

 

僕たちは基本的に、自分の価値観と相容れないものは「ノイズ」として嫌悪します。だからSNSのタイムラインには、自分の好きなものばかりが並びます。この状態、悪く言えば「ぬるま湯につかっている」ような状態です。

 

また、最近流行りのAIは、データを蓄積させればさせるほど、正確な分析をするようになります。スマホを始めとする身の回りの機器は、これからの時代、使用すればするほどユーザーの好みに合わせて、中身がカスタマイズされていきます。一言で言えば、「パーソナライズ」です。

 

「ぬるま湯」がどんどんとぬるくなり、かつ「パーソナライズ」も進行した先に待ち受けているものは何か。それは「偶然の出会い」の消失です。一番わかりやすい例は「本」です。

 

インターネットが無かった時代、僕たちはリアルの本屋さんに行って本を購入していました。そこでは、お目当ての本が既に決まっていた場合でも、否が応でもそれ以外の本も目に入ります。そこには、「偶然の出会い」があったのです。

 

今はどうでしょう。SNS上には自分が好きな人、自分と価値観が合致する人の本しか流れてきません。AIによって、Amazonのサイトには常に「あなたへのおすすめ本」が所狭しと並んでいます。そこにはもう、「偶然の出会い」はないのです。

 

以上が、家入さんが予想する「これからのインターネット・ネガティブポイント3選」です。まあ、別に今のインターネット悪いところや悲観的な将来予測ばっかりじゃなくて、好きなところにもそれなりに紙幅が割かれてます。

 

20~30年前のインターネットを知らない僕としては、インターネット黎明期の懐かし話なんかも面白かったです。あとは、家入さんのことが前よりも好きになりました。それだけでも十分読み応えのある本でしたね、これは。